アクセシビリティ対応が「努力義務」から「義務」に

2024年4月、障害者差別解消法の改正により、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。Webサイトも例外ではありません。対応を怠った場合、行政指導の対象になるだけでなく、企業名の公表というレピュテーションリスクも発生します。

総務省の調査によると、日本の65歳以上人口は約3,600万人(総人口の29%)。さらに視覚障害者は約31万人、色覚異常のある方は男性の約5%に上ります。アクセシビリティ対応は法的義務であると同時に、潜在顧客の約30%以上にリーチするためのビジネス施策でもあるのです。

WCAG 2.1の適合レベルを理解する

Webアクセシビリティの国際基準はWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)2.1です。日本規格のJIS X 8341-3:2016もWCAG 2.0を基盤としています。適合レベルは以下の3段階です。

レベル基準対象企業達成項目数
A(最低限)基本的なアクセスを保証すべての企業30項目
AA(推奨)多くのユーザーが快適に利用可能自治体・上場企業20項目(追加)
AAA(最高水準)あらゆる障害に対応専門機関・教育機関28項目(追加)

民間企業は最低でもレベルA、可能な限りレベルAAの準拠が推奨されます。自治体サイトではレベルAA準拠が実質必須です。

対応すべき7つの具体的ポイント

1. テキストのコントラスト比(WCAG 1.4.3)

通常テキストは4.5:1以上、大きなテキスト(18px太字以上)は3:1以上のコントラスト比が必要です。薄いグレー(#999999)の文字を白背景に載せると約2.8:1しかなく、不適合となります。Chrome DevToolsのコントラスト比チェッカーで簡単に確認できます。

2. 画像の代替テキスト(WCAG 1.1.1)

すべての画像にalt属性を設定します。装飾目的の画像はalt=""(空文字)を指定し、スクリーンリーダーが読み飛ばせるようにします。グラフや図表には、データの内容を具体的に記述しましょう。

3. キーボード操作への対応(WCAG 2.1.1)

マウスが使えない方でも、Tabキーとエンターキーだけで全機能を操作できる必要があります。特にカスタムドロップダウンメニューやモーダルウィンドウは、キーボード操作が漏れやすい要素です。フォーカスインジケーター(選択中の要素を示す枠線)を消さないことも重要です。

4. フォームのラベル付け(WCAG 1.3.1)

入力欄に必ずlabelタグを紐づけましょう。プレースホルダーだけでは不十分です。エラーメッセージも色だけでなくテキストで具体的に表示し、aria-describedbyで入力欄と関連付けます。

5. 文字サイズの拡大対応(WCAG 1.4.4)

ブラウザの200%拡大でもコンテンツが欠けたり、横スクロールが発生しないようにします。CSSではpx固定ではなくrem単位を使いましょう。

6. 動画・音声のキャプション(WCAG 1.2.2)

動画コンテンツには字幕(キャプション)の提供が必要です。自動生成字幕だけでは精度が不十分な場合が多く、手動での修正が推奨されます。

7. ページ構造のセマンティック化(WCAG 1.3.1)

見出しタグ(h1〜h6)を正しい階層で使い、ランドマーク(header、nav、main、footer)を適切に配置します。スクリーンリーダーはこの構造をもとにページを読み上げます。

チェックに使える無料ツール

ツール名種類主な機能
axe DevToolsブラウザ拡張WCAG違反の自動検出・修正提案
LighthouseChrome内蔵アクセシビリティスコア(100点満点)
WAVEブラウザ拡張視覚的にエラー箇所を表示
Colour Contrast Analyserデスクトップアプリコントラスト比の詳細測定
NVDAスクリーンリーダー実際の読み上げ体験を確認(無料)

まずはLighthouseでスコアを確認し、70点未満であれば早急な対応をおすすめします。axe DevToolsを使えば具体的な修正箇所と対応方法が一覧で確認できます。

非対応のリスクと実際のコスト

アクセシビリティ未対応のリスクは法的リスクだけではありません。

  • 行政指導・企業名公表:障害者差別解消法に基づく勧告・公表の対象に
  • 訴訟リスク:米国では年間4,000件以上のWeb訴訟が発生。日本でも今後増加が見込まれる
  • SEOへの悪影響:Googleはアクセシビリティ要素(alt属性、見出し構造)をランキング要因として評価
  • 売上機会の損失:高齢者のEC利用率は年々増加し、65歳以上のネット利用率は約75%に到達

対応コストは5ページ程度のサイトで10〜30万円が相場です。新規制作時に組み込めば追加費用はほぼ不要ですが、既存サイトの改修は規模に応じて費用が増加します。

KANADE WEBのアクセシビリティ対応

KANADE WEBではすべてのプランでレベルA準拠を標準装備しています。セマンティックなHTML構造、適切なコントラスト比、alt属性の設定、レスポンシブ対応を基本仕様として提供します。

プロプラン以上ではJIS X 8341-3レベルAA準拠のアクセシビリティ対応も実施。自治体向けには専門のフロントエンドリニューアルサービスもご用意しています。Lighthouseスコア90点以上を目標とした制作を行います。